80年代スクーターブームの主役マシンをカプセルで DJ・1R
80年代、スクーターは若者の移動手段であり、ファッションでした。1985年にDJ・1が発売。空前のレーサーレプリカブームをうけて、チャンバーマフラーやエアロアンダーカバーを装備し、派手なカラーリングで翌年登場したのがDJ・1R。Hondaの大ヒットスクーターとなりました。
時は2017年。「インスタ映え」を一つのキーワードに商品開発が進む中、我々の目に留まったのが、キッチュなカラーリングのDJ・1Rでした。
第二次ベビーブーム世代である弊社代表が「絶対にやりたい!!」と言って始まったこの企画。しかし、実現までの道のりは平坦ではありませんでした。
なにしろ30年前のモデルなので、なかなか実車に巡り合うことができません。Hondaよりいただいた基本的な外形スペックをベースに、独自で資料をかき集め、それでも不明な部分は様々な角度の画像から割り出すなどの解析が必要でした。
計測が終わったら次は再現性の確認です。実車の1/32サイズにすることで、ミラーステーが細すぎて強度が足りなくなったり、本来あるべき隙間が表現できなかったり…カプセル玩具として成立する強度を保つことと、リアルさを残すこととを天秤にかけ、どの部分を簡略化するかを非常に悩みました。
Hondaと何度もやりとりを重ね、ようやく切削原型までたどり着くと、次はデカール(印刷)データ作成です。Adobe Illustratorにて最大の6400%まで拡大し、コンマミリ単位での作成を行いました。特にフロント部分のデカールは湾曲を考慮しなければならず、ここでもまた、何枚もの実車画像を見比べながら推測し作成していきました。
そしてついに発売。企画から実に半年以上の時間がかかりました。バイクファンから話題を呼び、複数のメディアに取り上げていただきました。また、SNSで画像をアップしてくださるお客様がたくさんいらっしゃいました。日々SNSでその画像を見るのが、我々の開発の励みになっています。実車を知る世代の方にも、実車を知らないインスタ世代の方にも、幅広く手に取っていただける商品になったと自負しております。
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雑誌 モトチャンプ(三栄書房) 2017年10月号 に掲載していただきました
撮影協力 motoGITA