Columnコラム

1/1ヘラクレスオオカブトが作られたわけ

2019.09.12

 「新橋の居酒屋でギネスへの仮測定をするので来ませんか?」

 そう言われて僕は友人の紹介で知り合った野澤さんに飲み会に招待されました。

 ギネス測定!?のキーワードに興味をそそられ面白そうだなと軽い気持ちで行くと“ムシ会”と称される会合が……。

 そこにはギネス記録に挑もうとする黒光りのとてつもなくでかい昆虫がいました。そして、その巨大なヘラクレスオオカブトの持ち主がHirokAさんでした。

ギネスへの仮測定に挑戦した個体

 当時はヘラクレスオオカブト(以下「ヘラクレス」という。)の世界についての知識が全くなく、同席されていたむし社編集長の土屋さんに虫業界について色々とレクチャーを受けました。

 HirokAさんが世界的に有名なブリーダーであること、ヘラクレスに血統があるということをその時初めて知りました。また驚くほど高い金額で取引されていることも!

 野澤さんはカメラマンとして有名なことは知っていましたが、もう一人「見たことある人」が、僕の対面でずっとヘラクレスのことを話していました。とても気さくに話されているので他人の空似かなと自分の中で決めて話していましたが、やはり紅白にも出場経験のあるテノール歌手の秋川雅史さんでした。

 そして僕の横には謎の美女二人。全員がヘラクレスを愛で、語り合っていました。この謎だらけの空間で1/1ヘラクレスオオカブトの商品化企画は生まれました。

ムシ会の様子

 この企画の一番の決め手はHirokAさんに粘土造形の知識があったことです。リアルに1/1を作れば売れるだろうと直感はありました。

 しかしリアルに作るにはヘラクレスの体の仕組みを分かる人が監修する必要があります。HirokAさんにお願いすればリアルに再現できるかも!!

 実際に監修に入ると造形師かのごとく非常に分かりやすい指示を出してくれました。

ビークワ 71

 カプセル玩具業界では類を見ないBIGサイズの造形をどうやって500(メーカー希望小売価格)に落とし込むかが悩みの種でした。HirokAさん、SO-TAスタッフ、工場スタッフが一丸となってこの商品に取り組みました。

 何度も原型修正、彩色修正、パーツのはめ込み角度の微調整を繰り返しました。脚は動かすのか固定するのか。標本のレプリカではなく、生きた躍動感を表現するにはどうしたらいいのか。様々な検証を行いました。ファーストサンプルが出来上がってきた時の感動!!

1/1ヘラクレスオオカブトの商品化前サンプル

 約5万個を生産し、6月末から展開された1/1ヘラクレスオオカブトは大盛況で商品は即完売しました。

 また、この感動をムシ会の方々とお披露目会で共有できたのが嬉しかったです。カブトムシゆかりさんにツイッターで紹介していただいたり、雑誌ビークワに掲載していただいたり、利害関係なくただ純粋にヘラクレスが好きで繋いでくれたご縁でこんなにも多くの方にご協力いただき本当に感謝しています。

1/1ヘラクレスオオカブト完成披露会での一コマ

 そして何よりHirokAさんに多大なるご協力をいただいたことを感謝いたします。ありがとうございました。HirokAさんとでなければ、この企画は成立しなかったと思います。

 ちょっとでも面白いなと思ったことには臆せず顔を出してみることですね。純粋に好きなコト・モノの集まりは無関心な人にも必ず刺さるヒントを与えてくれます。

 カプセル玩具って興味ない人に興味を持ってもらうきっかけを与える存在でもありたいなと思いました。

 文:安藤(代表)

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